こんにちは。今回は、元オリンピック陸上選手の為末大さんによる『熟達論』を紹介します。
目次
著者紹介
1978年広島県生まれ。スプリント種目の世界大会で日本人として初のメダル獲得者。男子400メートルハードルの日本記録保持者(2023年6月現在)。現在は執筆活動、身体に関わるプロジェクトを行う。Dcportare Partners 代表。主な著作に「Winning Alone 」「走る哲学」「諦める力」など。
熟達の5つの段階
本書は熟達のプロセスを5つの段階で説明しています。
1. 游(ゆう)
「面白いからやっているのであって、役に立つからではないのが遊びである。」
- 余白・不規則さ
- 全力が先、制御は後
- 主体性
2. 型(かた)
「土台となる最も基本的なもの」
- 技能の無意識化
- 模倣は観察と再現
- 反復練習の重要性
3. 観(かん)
「観察によって関係と構造を理解し、見えていない部分を想像する」
- 「見る」とは「分ける」こと
- 「俯瞰」と「集中」
- 「できる」から「わかる」へ
4. 心(しん)
「中心を獲得し、自分を理解して自在に扱えるようになる」
- 「中心の確立」と「自然体」
- 中心から末端への連動
- 「創造性」と「技能」の双方向関係
5. 空(くう)
「夢中になり自我が消え、環境と自分が自然と連動している状態」
- 価値観からの解放
- 言語からの解放
- 一貫性からの解放
空の世界(ゾーン)は、自我が消滅し行為のみが残る世界
まとめ
『熟達論』は、学びについて掘り下げています。学びは「知識を得て経験していく獲得」という側面と、「学び続けることによる制限からの解放」という側面があり、前者は「心」までの段階で、後者は「空」の段階であることがわかりました。
自分が何かを学ぶときだけでなく、仕事などでだれかに教えたり指導したりするときも役立つと思いました。