書籍「春宵十話」レビュー

今回は「春宵十話」を紹介します。

1963年に刊行された数学者岡潔先生の随筆集の復刻版です。1963年当時、すでに教育と国の将来を憂いて書かれたもので、現代の問題を考えるうえでの参考になることが、随所に散りばめられています

 

岡潔

1901年、大阪市生まれ。京都帝国大学卒業。その後フランスに留学し、生涯の研究課題となる「多変数解析函数論」に出会う。後年、その分野における難題「三大問題」に解決を与えた。’49年、奈良女子大学教授に就任。’60年、文化勲章受章。’63年に毎日出版文化賞を受賞した「春宵十話」をはじめ、多くの随筆を著した。’78年没

 

この本の魅力のひとつが文章の美しさです。この文章だけで、論理の前に情緒が大切あることが素直に感じられます。
人の中心は情緒だよ、だから健全に育てないといけないよ、というメッセージが全編に流れています。

また、数学については「数学とはどういうものかと言うと自らの状況を外に表現することによって作り出す学問芸術の一つ」といっています。

情緒と教育について多く書かれているのですが、その中からなるほどなぁと思ったものを紹介します。

  • 情緒が頭を作る
  • 頭で学問をするものだという一般の観念に対して情緒が中心になっている
  •  全て成熟は早すぎるよりも遅すぎる方が良い。これが教育というものの根本原理
  • とりわけ情緒を養う教育が大切 
  • 今日の情緒が明日の頭を作るという意味で大切になる
  • 遊びに没頭するとか何かに熱中するということが大切である

しっかりとした大人になるためには、しっかりと子供時代を過ごすことが大切ということですね。

  • テレビ、雑誌、映画の影響が大きい

この当時からテレビ・雑誌・映画について憂いています。現代のSNSやインターネット・スマホなど目にしたらどう言われるのか。絶望されてしまうのだろうか。